「え…?」
アナキンにはヨーダの言わんとすることがわからず、困惑の色を瞳に宿した。
「目も見えぬ、耳も聞こえぬ。フォースですら今のオビ=ワンには感じることができぬ。敵地で倒れたのじゃ、運良くトルーパーに救われた事実をやつは知らぬ」
ヨーダは確信を抱いているのか、瞳を細めてきっぱりと言い切った。
ドクンと心臓が早鐘を鳴らし始める。
基地を目前に力尽きたオビ=ワン、次に瞳を開いたときに、外部の情報は一切遮断されている状況。
それならば…。
アナキンは自身が導き出した解答に、少なからずショックを受けた。
いや、そうとは限らないではないか、浮かんできては否定を繰り返すけれど、本当はその可能性が一番高いと、熱に浮かされたように口を開いた。
「…では…マスターは捕虜として囚われていると?」
「恐らくは、のう…」
ヨーダは諦観したようにそのまぶたを閉ざした。
何てことだろう、それではオビ=ワンはコルサントに戻っていることすら知らないのだ。
新たに発覚した事実にアナキンは言葉を失った。
あの戦地から引きあげ、この地に降り立って、もう一週間になるだろうか。
決して短いとはいえない時間をオビ=ワンは一時の気の休むことのない監獄に繋がれているも同然な状況に身を置き続けているのだ。
「そんなことって…」
あまりに過酷な現状に言葉が続かない。
せめてオビ=ワンがフォースを感じることができていれば、こんな事態にはならないはずなのに。
アナキンはギリと奥歯を噛み締めて、爪が食い込むほどに両手を握り締めた。
オビ=ワンの苦しみを理解せず、ただ失われ行く恐怖から目を逸らそうとしている間にも彼は独りで闘っていたというのに。
何と、何と愚かな…。
「アナキン」
己への憎しみが墨を落としたようにじわりと胸に広がっていくことを感じたのか、けれど咎める色もなくヨーダが静かに名を呼んだ。
「オビ=ワンは食事を摂ることも拒絶しておる。今は衰弱し抵抗する力も微々たるもの、致し方なく拘束をして栄養剤を投与しているが、それもいつまでもつものか…」
「拘、束?」
「…仕方がないのだ。点滴中にもし暴れられでもしたら針で傷付けてしまうことになる。これは我々の最大限の考慮だ」
マスター・ウィンドウが苦々しく顔をしかめて、口早に説明をする。
本当は誰もそんなことをしたい訳ではない。
身動きがとれなくなったオビ=ワンは、ますます心を頑なに閉ざしてしまうだろう。
けれど、彼を生かすためにはそれ以外に方法がないのだ。
それがわかっているだけに、アナキンは何も言えなかった。
評議会に痛いほどの沈黙が降りる。
どうすれば正しいのか、いやこの事態に正しい道があるのかすらわからない。
ジェダイの仲間として、オビ=ワンを救おうとすればするほど彼は警戒し、胸中に巣食っている疑念を膨らませ、疑心暗鬼から衰弱していってしまうだろう。
せめてここがジェダイ聖堂だと伝える手段があれば――
「マスター・ヨーダ」
無理矢理押し出した声は掠れ、アナキンの心境を表しているかのようだ。
怖い、と。
ごくりと唾液を飲み込む音すら部屋に響いているのではないかと思う。
グランドマスターの全視線が自分に集中したことを感じながら、けれど怯むことなくアナキンは背筋を凛と伸ばした。
「マスターに、面会する許可をいただけますか」

ただ純粋な恐怖がアナキンを動かしていた。



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短くて大変申し訳なく…
ようやく次でオビが出てきそうです
どこまで続くのかわからなくなってきました…