「…オビ=ワンはジェダイ聖堂で保護するとカウンシルは判断した」
早朝、けたたましく鳴り響いたコムリンクの呼び出しに、アナキンがひとりカウンシルの会議室に召喚され、円の座席の中央に立たされると、珍しくマスターが全員集結している中で一番小柄なマスター・ヨーダが意を決したように口を開いた。
「オビ=ワンは優秀な騎士じゃ。その知識は損なわれるに惜しい」
「聖堂の保護下から外れるとシスに狙われるかもしれん。それは避けねばならぬ事態だ」
後を継ぐようにマスター・ウィンドゥが、神経質そうに顎に伸ばされた手で口許を覆いながらキッパリと宣言した。
他のマスターは二人の発言に頷き、誰も口を挟もうとしない。
これはグランドマスターの総意なのだ。
「アナキンよ、そなたはまだ修行の身。新しいマスターの下で修行を積んでもらう」
「イエス、マスター」
マスターの入れ換えはアナキンにとって想定していたことだったので、さほど驚くこともなく受け入れた。
あまり数は多くないが、任務中に命を落としたパダワン付きのマスターはいる。
その場合、他のマスターがパダワンを引き継いでいく、その事例をアナキンはアーカイヴの資料から読み解いていた。
「そのことをマスターには?」
アナキンは少し躊躇ってから疑問を口にした。
オビ=ワンとはあの日以来顔をあわせていない。
アナキンはそれを逃げだと思っていた。
この件で一番傷付いているのはオビ=ワンだというのに、弟子である自分を識別できず、過敏に怯えるマスターの姿を目にするのが恐ろしくて、病室はおろか医療棟に足を向けることができなかった。
自分勝手な理由にアナキンはマスターたちに見えないようにうつ向いて唇を噛んだ。
「伝えてはおらん。いや、伝える手段がないと言った方が正確か」
ヨーダはふうと小さく溜め息を吐くと首を横に振った。
「人の気配には敏感での。室内に誰かが入るだけで警戒しよる」
「オビ=ワンは基地に戻る途中で意識を失い、トルーパーに発見されたと報告されているが?」
「イエス、マスター。マスター・オビ=ワンは基地の手前一キロほどのところで発見されました。近くにスピーダーバイクが倒れていましたので、恐らくはそれに乗って敵地から戻られたのだと…」
基地に戻ったオビ=ワンの姿を最初に見たときの光景を思い出し、アナキンは体を震わせた。
トルーパーが騒々しく道を開けるように怒鳴る声。
タンカーで運ばれてきたときのぐったりとしたオビ=ワンの、血色のない肌の色。
それを彩るように散った血の恐ろしいまでの赤に、アナキンは呼吸を忘れた。
あそこまで傷付いたオビ=ワンを見たのは初めてだったのだと気付いたのは、手術が始まったときだった。
頭を殴られたようなショックに、盲信的なほど彼が死とは無縁なのだと思い込んでいたのだと知る。
この作戦で二人は別行動をとっていた。
いわゆる陽動作戦で、アナキンが表で派手に戦況を混乱させている隙に、オビ=ワンが敵地へ忍び込み頭を叩く。
今までもマスターと別行動の任務はあった。
その度につつがなく任務を全うし、その自信が今回オビ=ワンが単身で敵の本拠地を叩く作戦を支持させていたのに。
アナキンはそこでようやく知ったのだ。
そう、誰であっても死と隣り合わせなのだと。
「ふむ…」
アナキンの報告を受け、ヨーダはうつ向き、何かを思案しているようだった。
アナキンとマスターたちの視線がヨーダに集中する。
それを意識しているのかいないのか、指を組み合わせて膝の上に置くと、沈黙を破るにしては小声でヨーダがぽつりと呟いた。
「オビ=ワンは…まだ敵地にいるやもしれん」
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あー…続きます…
もうオリジナルを完璧に無視してますね
もうしばらくお付き合い下さいませ